飲食店開業の手続き「風俗営業許可」に必要なものは?バーやキャバクラ、クラブや居酒屋を開店するには

飲食店開業の手続き「風俗営業許可」に必要なものは?バーやキャバクラ、クラブや居酒屋を開店するには

飲食店を開業する際に必要となってくる「営業許可」。

その中でも”接待”を伴う業態は「風俗営業許可」というものが必要になってきます。

クラブ、キャバクラなどの開店を考えている人にとっては必須です。

「必要なんだなぁ」と分かっていても何から手をつけて良いか分からず、頭を悩ませるオーナーは多いはず。

ということで今回は、風俗営業許可の手続きや許可条件、注意すべき点を解説いたします!

目次

風俗営業許可とは?

風俗営業許可とは?

「風俗」という言葉から誤解を持つ人もいるかもしれませんが、「風俗営業許可」とは接待をして遊興又は飲食をさせる営業をする際に必要な許可になります。

もっと簡単に言えば、スナックやキャバクラなどの歓楽的雰囲気を醸し出す方法(接待)によって客をもてなす営業形態のことです。

そのためバーのようなカウンター越しで、お酒を提供しながら会話をする程度のものは接待に該当しません。

「接待」に該当する具体例

  • お客様と一緒に席について継続的な会話やお酌をする行為
  • お客様と一緒にゲームや競技等をする行為
  • お客様と体を密着させたりする行為
  • 特定のお客様に踊りや歌を聞かせたりする行為

このような営業形態を行うのであれば風俗営業許可の取得が必須です。

また反対に、ホテルのディナーショーなどの不特定多数のお客様に対して歌や踊りを披露するのは「接待」に該当しません。

風俗店などは「”性” 風俗営業法」にあたるため、今回取り上げる風俗営業許可とは異なるため注意。

▼飲食店における「接待行為」の基準について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参考ください。

[風営法] 許可申請と届け出のちがい

この記事では風俗営業許可について取り扱いますが、「許可申請と届け出」の違いについても知っておきましょう。

許可申請の特徴

ホストやキャバクラ、クラブやパチンコを開業するには風俗営業の許可申請が必要になります。

 

届け出の特徴

スナック、デリヘル、バーなど、無店舗型風俗店営業や午前0時以降の深夜に酒類を提供する飲食店は届け出が必要になります。

 

ここで何を気をつけるべきかというと、風俗営業”許可”を取得した店舗は、深夜に酒類が提供できなくなります。(「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出」)

つまり風俗営業許可と届け出は一緒に行うことができず、どちらか一方のみになります。

風俗営業”許可”を取得した店舗は、深夜に酒類が提供できないため注意。

風俗営業許可を取得するには?

風俗営業許可を取得するには?

もしあなたが風俗営業許可を取得しようと思うのであれば、以下の3つの要件をクリアする必要があります。

  1. 店舗を設置する場所の制限
  2. 店内の設備や内部構造の基準
  3. 人物に対する要件

これら3つをクリアして初めて営業許可が与えられます。それぞれを詳しく見ていきましょう。

 

1. 店舗を設置する場所の制限

1. 店舗を設置する場所の制限

まず風俗営業許可を取得する際に最も気をつけなければならないのは、どこの地域でお店を開くかということです。

日本では12種類の土地の利用方法が定められているのですが、以下の地域でないと許可が与えられません。

風俗営業が可能な地域

  • 商業地域
  • 近隣商業地域
  • (準工業地域、工業地域、工業専用地域 )

またこれらの地域要件を満たしたとしても、お店から半径100m以内に「保護対象施設」がある場合は許可が与えられません。

保護対象施設

  • 学校
  • 病院
  • 図書館
  • 児童福祉施設
  • 診療所(入院のための病床がある)

この保護対象施設は各都道府県の条例によって異なるため、店舗を決める際は必ず不動産屋や行政書士などの専門家へ確認を取ることをおすすめします。

 

2. 店内の設備や内部構造の基準

2. 店内の設備や内部構造の基準

つぎに店舗内の設備や構造についてです。

風俗営業は風営法というものによって定義されており、「1号〜5号営業」までの5種類に分けられます。

キャバクラやダーツバー、パチンコ店などは風俗営業許可が必要な業種ですが、それぞれ取得すべき営業の種類が異なります。あらかじめ確認して間違えないように注意しましょう。

ここでは例として1号営業での基準について解説します。

1号営業 : 社交飲食店・料理店(和室)

(キャバクラ、スナック、パブ、ラウンジなど、接待を行い客に「遊興または飲食」させる営業)

  • ダンスホールがないこと
  • 外部から客室が見えないこと
  • 客室の出入り口に施錠設備を設けないこと
  • 善良の風俗等を害するおそれのある写真屋ポスター等を設けないこと
  • 店舗内の照度が5ルクス以下とならないための設備または構造を有すること
  • 騒音、振動の数値が条例で定める値に満たないよう維持できる構造または設備であること
  • 客室の床面積が、和室9.5㎡以上(1室) / その他16.5㎡以上(1室)であること。客室数が1室のみであれば制限なし

 

お店の業態によって取得すべき風俗営業許可の種類が異なります。

「自分の店はどうすればいいんだろう?」とお悩みの方は、こちらの記事が参考になるかと思います。

3. 人物に対する要件

3. 人物に対する要件

風俗営業許可を取得するためには、風営法で定められている人物に対する要件についてもクリアする必要があります。

かなり細かい要件が多くありますので、しっかりと精査して自身に当てはまるものがないかどうかを確認しましょう。

クリアするべき要件

  • 成年被後見人、もしくは被保佐人又は破産者で複権を得ない者
  • 1年以上の懲役、もしくは禁錮の刑に処せられ、5年を経過しない者
  • 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行う恐れのある者
  • アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
  • 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
  • 許可の取消処分を受けてから5年を経過していない者

「場所・構造・人」の3要件を満たし、必要書類を作成して警察署へ届け出ることで風俗営業許可を取得することができます。

つぎに許可を届け出る際に必要な書類について解説いたします。

 

用意すべき必要な書類について

用意すべき必要な書類について

もし申請を行うのであれば多くの書類が必要となってきます。

なかには専門的な知識が必要なものもありますので、不安な人や丸投げして時間を浮かせたい人は行政書士などの専門家へ依頼することも一つの手です。

申請時に必要な書類

  1. 許可申請書
  2. 営業の方法を記載した書類
  3. 営業所の使用について権原を有することを疎明する書類
  4. 営業所の平面図及び営業所の周囲の略図
  5. 住民票の写し
  6. 人的欠格事由に該当していない旨の誓約書
  7. 成年被後見人又は被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書
  8. 市区町村の発行する身分証明書
  9. 法人の場合は、定款・法人登記事項証明書(役員の住民票や誓約書等含む)
  10. 選任する管理者に係る誠実に業務を行うことを誓約する書面(誓約書、住民票、身分証明証等)
  11. 管理者の写真2枚

※パチンコ店の場合、遊技機に係る検定通知書の写しおよび保証書等が必要です。

 

かるく書き出してみましたがかなりの量の書類が必要ということが分かったと思います。

なかには作成に時間のかかるものや取得のために役所へ行かなければならないものなどありますので、漏れがないよう注意しましょう。

 

許可を取得する際の注意点

許可を取得する際の注意点

風俗営業許可を取得するために必要な条件や書類について分かったところで、さいごに注意すべき点についてご紹介します。

「え?意外!」と感じることもあるようなものを1つ1つ取り上げていきましょう。

許可申請は予約して警察署へ提出する

許可申請は予約して警察署へ提出する

風俗営業許可を取得する際は、役所ではなく管轄の警察署へ提出する必要があります。

ですが、書類を作成したからといってすぐに警察署へ持って行っても受理されず、「また日を改めてください」と言われてしまいます。

そうならないように事前予約をして警察署へ提出しましょう。

はじめて許可申請を行う方はよくこの落とし穴にハマってしまうので注意が必要です。

行政処分や刑事処分になる場合

もし無許可で風俗営業を行なっていた場合は、「無許可営業」となり行政または刑事処分です。

ちなみ、に刑事処分になってしまうと罰金刑だったとしても前科がついてしまいます。

くわしく言うと、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又はこれらの併科」と規定されているものは

  • 無許可で接待行為が伴う風俗営業を営んだもの
  • 偽りその他不正な手段により許可を取得したもの
  • 名義貸し
  • 営業の取り消し又は停止の処分に違反したもの

となっています。

まとめ

お客様に接待行為を行なう営業形態の場合に必要な「風俗営業許可」。その取得に必要な条件や書類、また注意すべき点などを紹介しました。

とくに風俗営業許可を取得した店舗は深夜に酒類の提供ができなくなるのは気をつけた方が良いです。

ご自身のお店のスタイルに合わせた営業を行っていきたいですね。

また許可申請は非常に煩雑で、時間もかかる面倒な作業です。

そのうえ開店準備や人材確保など、オーナーはやるべきことが多くあるのでいちいち時間を割いてはいられません。

そういう時は行政書士などの専門家へ業務を丸投げするのも有効な手です。

お店の規模感や予算などを加味した上で、効率的な開店を目指したいですね。

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この記事を監修した人

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