相続人になったときに気になるのが手続きにかかる費用。
どんな手続きをしてどんな書類を用意してすればいいのかすら分からない状態で、亡くなった方の葬儀や納骨などを進めなければなりません。
自分たちで手続きができない場合は専門家に頼りたいけど、誰に依頼すればいいかもよく分からないですよね。
ですので今回は、「専門家に相続手続きを依頼した際の費用や相場」について取り上げてまいります。
- どこに依頼をすればいいの?
- 相続手続きにかかる費用や相場は?
- できるだけ少額で抑えるにはどうすればいい?
といったような、相続人の方からよくいただく質問や疑問についても解説します。
相続手続きの流れについて
まずはじめに、知っておくべき相続手続きの流れについてを解説します。
遺産を相続する際に必要な手続きは、大きく分けて以下の5つです。
- 遺言書の有無を確認 : 遺言書の指示に従って処理を行う
- 遺産分割協議書の作成 : 相続人同士で遺産の分け方を協議
- 承認方法の選択 : 相続方法を選択
- 相続税の申告 : 課税対象の財産があれば申告
- 相続登記 : 不動産などの所有権登記
なにやら難しいかもしれませんが、簡単に言うと「相続人同士で分け方を決めて相続を行い、相続税が発生したら申告して不動産があれば登記という手続きを行う」ということになります。
またほかにも、相続人の確定や相続財産の調査などいろいろな手続きがありますが、があります。
▼こちらの記事では手続きに関して詳しく解説していますので「必要な手順を全部知らない・・・」という方はぜひご参考ください。
手続きの依頼先と相場について
さまざまな手続きが必要となってきますが、中には自分でやろうと思えば手間のかかるものや専門知識が必要なものもあります。
そのような場合に頼りたくなるのは専門家です。依頼料を支払って手続きを代行してもらうことで、自分でやるよりも確実にスムーズな相続を取り行えます。
もし、相続手続き代行を依頼するなら以下のような専門家に相談することになるでしょう。
- 弁護士 : 法律のプロ
- 行政書士 : 書類作成のプロ
- 税理士 : 税金関係のプロ
- 司法書士 : 登記(不動産など)のプロ
- 銀行・信託銀行
また専門分野がそれぞれ違ってくるため、担当できる範囲も変わってきます。簡単に説明すると次の表のようになります。
相談する専門家 | 業務範囲 | 相場費用 |
---|---|---|
弁護士 | 相続トラブルなどの裁判調停に発展しそうな相続手続き | 25万円〜数百万以上 回収額の数% |
行政書士 | 相続人調査から遺産分割協議書の作成など 幅広い相続の手続き業務 | 3万円〜40万円程度(相続人の数や財産規模によって変化) |
税理士 | 相続税の申告 | 遺産総額の1%前後(事務所により異なる) |
司法書士 | 不動産の名義変更(登記) | 27.5万円〜(登記免許税や報酬含む) |
銀行・信託銀行 | 遺産整理業務サービス | 最低110万円〜 各専門家への費用も別途発生 |
※相場費用はあくまで一例です。事務所や相続関係の拡大などによって変動します。
それぞれに専門分野があり頼める範囲も変わってくるため、つぎに各専門家に依頼した時の費用について取り上げます。
弁護士に依頼するケース
「相続トラブルなど紛争性のあるものは弁護士」
弁護士が直接相続の手続きを代行することはなく、相続トラブルなどから裁判調停に発展しそうな場合などに相談することをおすすめします。
このとき弁護士に依頼するときの費用は、25万円以上のものが普通で内容によっては数百万円にもなることが多いです。
行政書士に依頼するケース
「預貯金や株などの有価証券、不動産などの相続手続きの相談なら当ブログへ」
行政書士を一言で言えば、「書類作成のプロ」です。
そのため相続業務に関する書類作成や相続人の調査、手続き業務全般を取り扱うことができます。
しかし、行政書士の業務範囲は非常に広いため、人によって得意な業務は違うことが多いです。(医者を例にすると、外科医や精神科医などの種類があるように)
すべての行政書士が相続の手続きを代行できるというものではないため、確実に相続を遂行させたい方は当ブログへご相談ください。
相続手続きをメインにしている行政書士をご紹介いたします。(紹介料など他費用は発生しません。)
税理士に依頼するケース
「相続税に関する申告や相談を受けたいなら税理士」
税金に関係する業務は税理士に依頼することとなるでしょう。
しかし、税理士はあくまで相続税の申告が業務のため、相続手続き自体は税理士が連携している行政書士や司法書士が行うことが普通です。
また税理士は、遺産分割後に名義が変更された場合や調査の結果、相続税の申告が必要になった場合に関わってきます。
そのため相続税の申告義務が発生していないのであれば、税理士への相談は不要です。
先に税理士に相談して相続税の申告のみが完了した状態で、相続手続き自体はまだ残っており自分で専門家を探すことになる方もいるため注意しましょう。
司法書士に依頼する場合
「不動産の相続時に名義変更をするなら司法書士」
司法書士は「登記のプロ」です。(登記=不動産や会社などの権利関係を定めること)
もっと言えば登記手続きは司法書士にしかできません。
そのため不動産を相続する際に名義を変更すること(登記)ができるのは司法書士になります。
ここで注意すべきなのが、依頼した司法書士が不動産登記のみを行い、相続税の申告が発生しても税理士の紹介を行わないこともあります。(業務範囲外のため)
また行政書士と司法書士は相続手続きを行うことができますが、司法書士の方が支払い報酬が高い傾向にあるため費用面においても気にしておきたいところです。
銀行・信託銀行に依頼する場合
「信頼、安心感は高いが高額な費用」
最近より多くなってきた銀行や信託銀行での相続手続き代行サービス。
メリットとしては、自身でどの専門家に依頼するかを悩む必要がなく、安定したサービスの提供を行ってくれるところです。
しかしその手続き費用は非常に高額で、最低100万円を保証しなければならない契約も中にはあります。
また相続財産額が高くなるほど支払う費用も多くなり、それに加えて銀行側が依頼する各専門家への費用も別途発生することになります。
ただし、相続トラブルになりうるような手続き代行は引き受けていないのが普通のため気をつけましょう。
各専門家の費用について
それぞれの専門家の業務範囲と大まかな費用について紹介しましたので、つぎに各費用の詳細について紹介いたします。
またここで取り上げている報酬額の中に、書類取得・発行にかかる費用は加算しておりませんのでご了承ください。
※弁護士へ依頼した際の相場費用については、裁判調停の内容により大きく変動するため取り上げておりません。
行政書士の費用
行政書士に依頼した場合の各手続きでの報酬額は以下のようになります。
相続手続きの業務 | 報酬額 |
---|---|
行政書士への基本報酬 | 6万円〜 |
戸籍・住民票取得 | 1,500円程度/1通 |
財産目録の作成 | 3万円〜 |
遺産分割協議書の作成 | 3万円〜 |
預貯金の相続手続き | 3万円〜 |
有価証券の相続手続き | 3万5000円〜 |
自動車の相続手続き | 3万円〜 |
上記相続手続きの一括代行 | 15万円〜40万円程度 (相続財産額により変動) |
登記手続きや相続税の申告が必要な場合は提携している専門家へ依頼することが多いです。
司法書士の費用
「登記のプロ」の司法書士に不動産登記を依頼する場合の費用は以下のようになります。
登記手続きの業務 | 報酬額 |
---|---|
司法書士への報酬 | 10万円〜 |
登記簿謄本の取得と調査費用 | 2,000円/1件あたり |
相続登記における必要書類の取得費用 | 800円〜2,000円程度/相続人一人当たり (地域によって変動) |
登録免許税 | 10万円程度(固定資産税評価額により変動) |
銀行・信託銀行の費用
とある大手信託銀行に依頼した場合の手続き費用は以下になります。
相続財産額 | 報酬額 |
---|---|
5,000万円以下 | 財産額の2.20% |
5,000万円以下〜1億円以下 | 財産額の1.65% |
1億円〜2億円以下 | 財産額の1.10% |
2億円〜3億円以下 | 財産額の0.88% |
3億円〜5億円以下 | 財産額の0.66% |
5億円〜10億円以下 | 財産額の0.44% |
10億円以上 | 財産額の0.33% |
最低報酬保証額 | 110万円 |
最低報酬保証額が110万円ということは3000万円の相続財産額の場合、「3000×2.2%=66万円」ではなく110万円を支払うことになります。
まとめ
相続人にとって気になる費用と手続きごとの費用について紹介しました。
また、各専門家が担当できる業務範囲の違いについてもご理解いただけたかと思います。
そのため自分が今どういう状況で何が必要なのかをしっかりと見極めた上で依頼をする必要があります。
ですが専門知識が必要な場面も多く、自分で判断するのは難しいですよね・・・。
そういった場合は、幅広い相続手続きを取り行える行政書士への相談がおすすめです。
あなたの現状にあった対応方法や行うべき手続きを教えてくれます。