接待を伴う飲食店とは?営業許可を取得する際の判断基準と注意点について

接待を伴う飲食店とは?営業許可を取得する際の判断基準と注意点について

飲食店の経営者にとって避けることができない「接待行為」について。

バーや居酒屋、キャバクラやコンカフェ(メイドカフェ)などを開業しようと考えている人にとって、不安の種となっているのではないでしょうか?

もしあなたのお店が深夜0時以降にお酒を提供するならば、「深夜酒類提供飲食店営業」の届け出が必須です。

ですがこの届出をしてしまうと、お客さんとの談笑やお酌などの「接待行為」が禁止されてしまいます。

ここに頭を悩ませている経営者は多くいらっしゃるはず・・・。

そんな方のために今回は、風営法で定められている”接待行為”について徹底解説いたします!

  • 「接待行為とは具体的にどんなものなの?」
  • 「どこまでの範囲なら許されるの?」
  • 「接待行為があっても0時以降にお酒を出す方法はあるの?」

というような疑問を持つ方はぜひご参考ください。

「知らなかった」では済まされないのが法律の世界ですので、処罰されないようしっかりと理解しておきましょう。

目次

飲食店経営における風営法

飲食店経営における風営法

風営法では、パチンコ店や接待を伴う飲食店は「風俗営業許可」を申請する必要があると定められています。

この営業許可には6種類あり、それぞれの店舗形態によって対象となる許可が異なります。

たとえば、あなたがバーやスナック、キャバクラやコンカフェ(メイドカフェ)などを営む場合、「接待行為」を行うお店であれば風俗営業許可を申請しなければなりません。

  • 少しの間お客さんと談笑していた
  • お客様から求められた対応に応じた
  • グラスが空になったから店員がお酒を注いだ

といような行為はすべて接待行為として当てはまると風営法では解釈されています。

▼お店によってどのような営業許可を取るべきかは違ってきますので、詳しくは次の記事をご覧ください。

またここで重要となってくるのが、風俗営業許可を取得すると深夜0時以降の営業が行うことができないという落とし穴があることです。

深夜もお店を開けたいと考える経営者にとって風営法は避けては通れない道。

そのため「談笑しだだけで接待扱いならどこまでが許されるのか!」と考えるのは当然です。

そんな方のために、次の章では何が接待で何が接待ではないのかを、具体例を挙げながら解説していきます。

風営法における接待行為とは

風営法における接待行為とは

2022年3月1日に警察庁が公開した「風俗営業に関する解釈運用基準」によると、

接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。

ここで重要なのは「歓楽的雰囲気を醸し出しているかどうか」が判断基準となることです。

また、この定義に当てはまる店舗のことを「接待を伴う飲食店」として風営法では取り扱っていますが、分かりづらいですよね・・・。

ということで、次からは風営法による「歓楽的雰囲気」とはどういうことなのかをもっと掘り下げて解説いたします。

▼飲食店開業を目指している方はこちらの記事を参考していただくと、さらに解説が分かりやすくなります。

接待における「歓楽的雰囲気」とは?

接待における「歓楽的雰囲気」とは?

歓楽的雰囲気とは?

「お店側が主体となり、特定の客やグループを楽しませるような行為」です。

たとえば、

  • 客の隣に座ってお酌をする
  • お客さんと一緒にカラオケをする
  • 店員が客と一緒にゲームやダーツをプレイする

といったようなものが当てはまります。

イメージをするならばキャバクラやホストクラブなどのように、個別に客に対してサービスを行うようなお店が対象です。

ですが、バーや寿司屋のようにカウンターを挟んだ会話やお酌は接待行為にはなりません。

あくまでも「歓楽的雰囲気かどうか」という部分が重要ということです。

それでもあまりピンと来ないと思うので、つぎに接待行為とはならない店舗形態を解説します。

カウンター越しの談笑でもガールズバーなどの歓楽的雰囲気があるとNGです

接待行為にならない場合とは?

接待行為にならない場合とは?

「お客さんとの談笑も許されないのか!」と感じている方もいるかもしれませんが、以下のようなケースであれば接待行為には当てはまらないと考えられています。

  • バーカウンター内での社交儀礼上での挨拶やお酌
  • 空になったグラスにお酒やお水を入れるが、すぐに立ち去る場合
  • ディナーショーなど不特定多数の客に対しショーをみせる場合

このような場合であれば接待には入りません。

ですが必要以上に長く特定のお客さんと話したり、カウンター内からでもカラオケでお客さんとデュエットしたりすると接待と判断されてしまいます。

接待か、接待でないかの具体例

接待か、接待でないかの具体例

なんとなくは理解できたかと思いますが、結局のところ同じサービスをしたとしても接待に当てはまる場合と当てはまらない場合があります。

ここからはそれぞれの具体例を比較しながら見ていきましょう。

サービス接待になる接待にならない
談笑
挨拶
特定少数の客の近くで継続して談笑や挨拶をしたりする客の後方で待機したり、カウンター内での注文の受け応え
(社交儀礼上の挨拶や若干の世間話は問題ない)
お酌特定少数の客の近くで継続して酒等の飲食物を提供するお酌や水割りを作るが速やかにその場を立ち去った
遊戯客と一緒にゲームや競技などを行う客一人や客同士でのゲームや競技を行う
ダンス
ショー
特定少数の客に対してダンスやショーを見せたり聞かせる不特定多数の客に対してダンスやショーを見せたり聞かせる(ディナーショーなど)
スキンシップ客の手を握っての会話や体を密着させる社交儀礼としての握手や泥酔した客の介抱、客の荷物やコートを預かる
歌唱客と一緒にカラオケなどを歌う不特定の客からカラオケの準備依頼を受ける、伴奏のための楽器の演奏
飲食物の提供客に飲食物を口に持っていったり「あ〜ん」させたりする飲食物の運搬や食器の片付け

「え、それも接待になるの?!」と感じるものも多く、飲食店経営者は頭を悩ませていると思います。

ただ、風営法と実情はいろいろと離れている部分もあるため、少しでも不安が残る方は行政書士などの専門家へ相談をするのもおすすめです。

専門家だからこそのノウハウや知識を持っているので、困ったら頼ってみてもいいかもしれませんね。

風営法で気をつけるべきこと

さいごに、振り返りの意味も込めて風営法の注意点や違反した際の罰則などをみていきましょう。

風俗営業許可では深夜営業ができない

風俗営業許可では深夜営業ができない

もしあなたのお店が風俗営業許可を取得したならば、深夜0時以降もお酒などを提供する際に必要な「深夜酒類提供飲食店営業」は取得できません。

そのためお酒がメインのお店で深夜も営業したいのであれば、深夜酒類提供飲食店営業の許可を取得しましょう。

ただし、深夜酒類の許可では接待を行うことができませんので注意です。

無許可営業は罰則の対象に

無許可営業は罰則の対象に

接待行為が行われる飲食店での風俗営業許可の取得は必須です。

あたりまえですが、この許可を取らずに接待が伴う飲食店を営業していると、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこれの併科」が課せられる可能性があります。

また、深夜酒類飲食店営業の許可を取ったガールズバーなどを既に経営していて接待行為が行われている場合、風俗営業の無許可営業となります。

この無許可営業で指導を受けるケースは珍しくはなく、巡回している警察に指摘されてもおかしくありません。

もしも接待行為が常態化しているお店であれば、早めに許可を申請しておくか接待行為をしないようにしましょう。

こういった相談は行政書士などであれば慣れていますので、不安であれば一度無料相談などを受けてみるのをおすすめします。

まとめ

「ちょっとお客さんと話していただけ」
「これくらいなら接待とは言えないでしょ」

といったように安易に受け取っていると、いざ警察が立ち入ったときに泣きを見るのは客ではなくあなたです。

またこのような場合の警察は絶対に見逃してくれることはありませんので、しっかりと対策を立てた経営をしていきたいところですね。

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この記事を監修した人

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